アコギの代表的な奏法として知られるアルペジオは、和音をバラバラにして、一音ずつ重ねていく弾き方です。慣れないうちは正確なフォームやポジションを意識し、ゆったりしたテンポで練習しましょう。なお、アルペジオは指弾きだけでなく、ピック弾きも可能です。
アコギの代表的な奏法であるアルペジオ。
ゆったりとしたバラードはもちろん、ロックやジャズなど幅広いジャンルのアレンジなどに用いられており、ギターの基本的な奏法ともいわれています。
アルペジオのパターンは複数ありますが、ギター初心者の方は基本的なパターンから練習していくのがおすすめです。
今回は、ギターのアルペジオの基本や練習方法、ピックでの弾き方などを説明します。
目次
アルペジオとは、日本語で「分散和音」という意味で、名前の通り、和音(コード)を分散させて弾く奏法のことです。
コードの構成音を、低い方または高い方から順番に、1音ずつ弾いていくので、1つ1つの弦の響きを聴くことができます。
割とひんぱんに出てくる奏法ですが、鳴らした弦の音は止めずに重ねる。隣の弦に指を触れない。弦をしっかり押さえるなど、守らなければならない基本が複数あるため、美しい音を出すには地道な練習が必要です。
ここでは、ギターのアルペジオの基本を3つのポイントに分けて説明します。
アルペジオの弾き方には、ピック弾きと指弾きの2つがあります。
ピック弾きの場合、ダウンとアップを繰り返すオルタネイトピッキングで一音ずつ弾いていくのが基本です。
一方の指弾きは、親指・人差し指・中指の三本を使う「スリーフィンガー」と、さらに薬指を追加した「フォーフィンガー」のいずれかのフォームを使用します。
スリーフィンガーの方が他のスタイルでの応用が利きますが、親指の範囲が広くなるため、やや難易度は高めといえます。
弾き語りでは指弾きするのが一般的ですが、ギター初心者の方や、普段ピック弾きでストロークしている人は、慣れるまで時間がかかる可能性があります。
早弾きするならピック弾き、丸みのある音を出したいなら指弾きなど、曲調に合わせて選ぶとよいでしょう。
アルペジオは音を途切れさせず、一音ずつ重ねていく奏法なので、通常のコードストローク以上にコードの押さえ方に注意を払う必要があります。
コードの押さえ方が甘いと、音が鳴らなかったり、音が途切れてしまったりして、美しい音を出すことができません。
弦を鳴らすときは、コードがしっかり押さえられているかどうか確認しながら、一音ずつ鳴らしていくのがポイントです。
前述の通り、アルペジオは音を途切れさせないように演奏することが大切ですので、なるべく左手の形を崩さずにコードチェンジするのが理想です。
押さえている位置が同じところをなるべく動かさないようにするにはどうすればいいか、工夫しながら指運びすると、より音を長く延ばせるようになります。

ギターのアルペジオをマスターするための練習方法とコツをご紹介します。
アルペジオを指引きする場合は、各指を正しいポジションにセットすることを意識しましょう。
フォーフィンガーの場合は、6弦に親指、3弦に人差し指、2弦に中指、1弦に薬指をセットします。
スリーフィンガーの場合は、6弦に親指、2弦に人差し指、1弦に中指をセットします。
最初のうちは鏡を目の前に置き、自分の指を確認しながら練習すると、基本のセットポジションをキープできるようになります。
アルペジオに慣れないうちから、いきなりアップテンポの曲やフレーズを弾こうとすると、上手くいかずに挫折してしまいがちです。
アルペジオは、一定のリズムをキープしながら弾くのが基本ですので、まずはシンプルなパターンのフレーズを確実に弾くことを目標にしましょう。
メトロノームを使ってゆったりしたテンポを刻めば、リズムを乱さずに弾けるようになります。
スローテンポのフレーズをマスターしたら、一段階テンポを速め、またマスターしたらテンポを上げて…という練習を繰り返していくと、次第にアップテンポの曲も難なく弾きこなせるようになります。

ピックを使ったアルペジオは、指引きするアルペジオに比べると音量が少し大きく、かつサウンドがやや硬めになる傾向にあります。
そのため、アルペジオの音を引き立たせたい場合や、クリーンな曲調にしたい場合などはピック弾きが多用されます。
ここでは、アルペジオをピック弾きする際のポイントやコツを3つご紹介します。
アルペジオをピック弾きするときのフォームには、右手を固定するパターンと、右手を浮かせるパターンの2種類があります。
右手を浮かせると、ピッキングの微妙なニュアンスを調整しやすいというメリットがありますが、慣れないうちは難しいので、初心者の方は右手を固定するフォームで始めるのがおすすめです。
やり方は、右手の小指をギターのブリッジ付近に添えるだけです。
小指を固定することで右手全体が安定するため、ミスピッキングが起こりにくくなります。
ピックを使ったアルペジオの弾き方は、大きく分けて2種類あります。
まず1つ目は、先でも少し説明したアップピッキングとダウンピッキングを交互に行う「オルタネイトピッキング」です。
そしてもう1つは、6弦から1弦に降りていくときはダウンピッキング、逆に1弦から6弦に上がっていくときはアップピッキングを行う「スウィープピッキング」です。
スウィープピッキングは別名「エコノミーピッキング」とも呼ばれており、動きが派手でスピーディなことから、多くのギタリストが一度は憧れるテクニックといえます。
ただ、ギター初心者がいきなりスウィープピッキングにチャレンジすると、リズムが狂ってノイズが出たり、変なクセが身についてしまったりする可能性があります。
一度クセがつくとなかなか元に戻すのは難しいので、まずは基本であるオルタネイトピッキングを繰り返し練習し、正確なリズムで弾くテクニックを習得しましょう。
飛び弦または弦飛びとは、1弦から3弦、5弦というように、離れた弦を続けてピッキングすることです。
基本の練習フレーズでは1弦→2弦→3弦と隣り合った弦を弾いていくものが多いですが、実際の曲では飛び弦が頻発するので、離れた弦を続けて弾く練習もしなければなりません。
最初のうちは別の弦をピッキングしてしまうことも多いですが、ミスを怖れずに何度も反復練習すれば、飛び弦もスムーズに弾きこなせるようになります。
飛び弦の練習を行うと、弦の距離感を正確につかめるようになり、狙った弦を正確に弾けるようになるので一石二鳥です。
ギターのアルペジオは、幅広いジャンルの曲に用いられる代表的な奏法のひとつですが、美しい音色を出すためには、正確なコードをしっかり押さえつつ、音を途切れさせずに演奏する必要があります。
まずは正しいセットポジションやフォームを覚え、スローテンポなフレーズを正確に弾けるようになることからスタートしましょう。
アルペジオのテクニックは他の奏法にも応用が利きますので、しっかり基本を身につければ、ギター演奏の幅も広がります。
特にピック弾きの飛び弦の練習は、弦の距離感を正確につかむことにもつながるので、マスターして損はないでしょう。
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